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花簪(はなかんざし)
桜の花も散ってしもて、都をどりも済んだら何や春が過ぎて行ったような気がすんのどす。山には替わって藤やら桐の花が、薄紫の色をのぞかせとります。舞妓ちゃんの髪にも今月の花、藤がぶらさがっとります。

さて、今日はこの花簪のお話どす。舞妓ちゃんらが髪にさす花簪は月ごとに決まってんのどす。せやから一人の舞妓ちゃんでも最低12組、それに加えて正月松の内用、祗園まつり用、八朔用、顔見世用が必要になんのどす。
今、これを作ってはるとこは京都では祗園の「金竹堂」(こんちくどう、やおへんえ、きんたけどう)はんだけになってしもたんどす。昔みたいに祗園町だけで7〜800人も芸・舞妓はんがいた頃はもっとぎょうさんのお店で作ってはったんどっしゃろけどねぇ。
八坂石段下の北側を少し西へ行ったとこにおす。もちろん、一般の方でも入れますさかいに興味のあるお方は覗いてみとぉくれやす。但し、その値段にはおどろかされますけど(笑)
大概の舞妓ちゃんは出来合いの簪で手ぇ打つんどすけど、中にはマニアックな舞妓ちゃんもいて、人とは違うオリジナルなデザインのもんを特注したりしたはります。中には東京のつまみ簪の職人さんとこまで注文しに行かはる妓もいてるらしおす。
ある年、釣り船の屋根から柳を垂らしたんを作った妓がいてました。それを見て、「何やもひとつ面白ないな」ちゅうて、船に釣り人を乗せ、竿の先から髪の毛をたらしてそこに緋鯉をつけてあげたんどす。頭を動かすたんびに緋鯉が揺れて、そら注目を集めたらしおす(笑)
今年の秋は、黄色い菊の花に代えてトラの顔にした方がええんやおへんか。
昔はこの毎月の簪、引いたお姉さんがいもとに買い与えてたんやそうどす、けど最近はどうどっしゃろかねぇ。いもとがぎょうさんいてたらそれだけでも結構な出費どっさかいに。
「なぁ、○×ちゃん、今月の藤の簪、そんな長かったら顔とかが※1こそばいことないか?」
「へぇ、最初は歩くたんびにちらちらと当たって気持ち悪いし、目ざわりやし、真ん中へんで切ってしまおかて思うたくらいどす。」
「けど、ちんちくりんの藤の花ちゅうのも何やけったいやしなぁ。風に流されたように、外側へ向けてスプレーで固めたらどないや」
「そんなんしたら、お座敷で隣のお客さんの顔に刺さりまっしゃおへんか」
相も変わらず、ばか話しとるところへおかんがやって来よります。
「△□はん、※2五花街はどっちの日ぃに行かはります?切符取っとかんなりまへんし。」
「いや、今年は東の○△はんに頼まれてんね。あの人、今年は出番らしいさかいに」
ほんまにせわしないことどす。五花街が済んだら祗園祭、ついこないだ、おめでとうさんちゅうてたのに、一年てあっちゅう間どすなぁ、年がいくと余計にそんな気ぃがしますえ。
※1 こそばい くすぐったい
こそばがり くすぐったがり
※2 五花街 京都五花街合同伝統芸能特別公演「都の賑わ
い」6月21日(土)・22日(日)
10年前の遷都1200年のイベントのひと
つとして始まったものです。毎年6月中旬の
土・日に開催されてますが、今年は10回目
ということで、全国の四都市の花街からも特
別参加して金曜日に全国花街伝統技芸・芸術
祭が行われます。京都からは祗園甲部と先斗
町が出演する予定。
■このコンテンツは藤村屋電子瓦版の記事を再構成して掲載しております。
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2003年05月24日 16:07に投稿されたエントリーのページです。
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