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舞妓ちゃんの成人式
初詣や、えべっさんやちゅうてる間にあっちゅう間に成人の日が。いつのまにやらこの祝日、ハッピ−マンデーとか訳分らん法律で第二月曜に変わってしもて、この法則やと最短8日が成人の日ちゅうことになんのどす、えべっさんの前にてけったいな感じどすなぁ。成人式はやっぱし15日がよろしおすな。
「今日は仰山着物着た若い人が歩いたはる、て思うたら成人の日やったんやなぁ」
「せやなぁ、うちは去年やったけど、その日は宴会聞いてたんで出来ひんかったし。せやけどいっぺん着てみたいなぁ、振袖」
○×ちゃんと□△ちゃんが話しとります。普段は毎日振袖にだらりの帯を身にまとうてる舞妓ちゃんも、普通の振袖が着てみたいもんらしおす。もちろん頭も洋髪か新日本髪あたりで。
中学出てすぐに祗園町へやって来て、なんぼ自分の夢で入った道とは云うても、青春時代のすべてをお稽古とお座敷に費やしてきた舞妓ちゃん達、やっぱし普通の女の子と同じように成人式とか花嫁姿には憧れがあるもんやそうどす。
「二人して何の話してんにゃ」
「あ、お父はんお越しやす〜」
「今、○×ちゃんと成人式の話してましてん。○×ちゃんは今年成人式なんどす。うちは去年どしたけど、お仕事で出来しまへんどしたさかい、いっぺんやりたいなぁ、て話してたんどす」
「ほ〜ぅ、毎日べべ着てても、まだそんな恰好したいてか?」
「そらそうどす。舞妓さんの恰好やのうて、普通の振袖が着てみたいんどす」
「それやったら、したらええやないか。うっとこの娘の振袖着たらええんやし、□△ちゃんは背が低いさかいに、友達の○○の娘さんのんを着たらええわ」
「いや、ほんまどすか!嬉しおす〜、よかったなぁ○×ちゃん」
「おおきに〜、ええ想い出になりますわ。是非お頼申します」
二人の都合がなかなかつかず、少し遅れた成人式となりました。その日は朝から近所の髪結いさんで洋髪に結い上げて貰い、振袖を着付けて貰うと、そこには普通の二十歳の町娘の誕生どす。普段の舞妓姿は堂々としてて、年ももっと上に見えるんどすけど、こうして見たらまだまだ幼い感じどすなぁ。
喜び勇んで、八坂さんへお詣りに行こちゅうことで花見小路を歩いてると、向こうからやって来た△○姉さんが
「あんたら、どないしたんその恰好は、おまけに頭まで洋髪にしてからに。お母さん知ってはんのんか?」
「△○さん姉さん、お早うさんどす〜。実は今日うちらの成人式どすねん。○□のお父はんがお祝いしたげるちゅうてくれはって、これから八坂はんへお詣りに出かけるとこなんどす」
「ああびっくりした、そういうことどしたんかいな。そうかぁ、そらよろしおしたなぁ。成人式ねぇ、そない云うたらうちもしてへんなぁ。けどよう似合うてますやんか、その恰好。まぁ行っといやす、○○ちゃん××ちゃん」
気を利かしてか実名で呼んでくれはります、△○姉さん。
神社では、神妙な顔つきでお祓いを受けてた二人も、終ると元のまんまどす。
「さっきの神主はん、妙に高い声やったなぁ。もうちょっとで笑いそうやったわ」
「せやろ、○×ちゃんの顔見たら、ほっぺたがぴくぴく動いてて、うちも笑い堪えんのに大変やったしぃ」
「はいはい、よろしおしたな。ほな、これから○○で写真撮って貰うてから、食事にでも行こか。あんたらの姉さんらとおかんも呼んで祝いの膳ちゅうことで、何がええか?」
「お〜きにお父はん、ほな今年は酉年どっさかいに、お鶏さんは遠慮して、ぼたん鍋お頼申します〜」
いつもはお座敷に呼ばれても下座の方に座ってる二人、今日ばかりは床の間を背にしての主賓の席で満足気に座っとります、※1
おざぶまであてて。
さて今日は二人で何人前食べることどっしゃろか(笑)
※1 おざぶ 座布団。普段、芸・舞妓さんはお座敷は勿論、
ご飯食べでも座布団は使わない。
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