京都祇園観光案内

六道さん

今年も厳しい暑さの中、お盆が近づいて参りました。京ではお盆に入る前に、東の六道はん(大椿院 珍皇寺・ちんのうじ)か西の千本えんま堂はん(引接寺・いんしょうじ)へ祖先のお精霊・おしょらいをお迎えするために「お迎え鐘」を撞きに行くのんどす。そう、あの小野篁が夜に冥界の閻魔大王のもとへ通うときの入口が珍皇寺、で朝になって出てくるとこがえんま堂なんどす。
【六道 珍皇寺】
珍皇寺
朝早うから大勢の人が順番を待って並んだはります。一昔前までは夜も11時頃まで並んでたらしおすけど、近所からの苦情で今は早う終います。また、その参拝客を当て込んだ五条の「陶器市」も賑やかに店が出とります。


「おかん、今年は(お迎え鐘)いつ行く?」
「そうどすなぁ、初日にでもどうどす?お昼じぶんに。朝はお年よりが仰山来たはるさかい、暑い時が空いてまっしゃろ」
「あぁ、それもそやな。ほな7日の正午ちゅうことにしよか。ところで○×ちゃんとこのお父さん、今年が初盆やったんとちゃうか?」
「そない云うたら、そうどすなぁ。たしか※1去年の宵山に亡くならはったさかいに、今年が初盆どすわ」
「ほな一緒に誘うたげたらええやんか。ついでに先に行って並んでて貰おか」
昼ごろ、建仁寺を抜けて六道はんへ着いたら、予想に反してたんとの人どす。この暑いのにお年よりの方、大丈夫どっしゃろか。長〜い行列が出来とりますけど、うちらは先発隊を並ばしとりますさかいに、門の入口からほんの5分ほど並んだだけで済んだんどす。
【お迎え鐘】
お迎え鐘
「○×ちゃん、おおきに暑かったやろ。どれ位並んでたん?」
「あ、おはようさんどす、お母はん。おはようさんどす、お父はん。うちがちょっと早う来すぎたんで、40分位どす。」
「ひゃぁ、そないに並んでたんかいな。ご苦労はん、後でなんぞ美味しいもん、※2ごっとぉしたげるしな」
「いや、ほんまどすか? ほな※3『う』さんでお頼申しますぅ」
順番が来て鐘撞きの縄を引くと、お堂の下から十万億土の彼方のあの世まで響き渡る、て云われてる鐘の音が心に染み込んで来るのんどす。
次に水供養の為、水塔婆に仏さんの戒名を書いて貰うんどす。それから本堂へおろうそくを上げ、お線香をたいてその煙に塔婆をかざします。最後に室町時代の作品て云われるお地蔵さんがぎょうさん並んだところに水塔婆を立て、高野槙の枝で水をかけてあげんのどす。これでコース終了、帰り道で高野槙と蓮の入った供花を買うて帰んのどす。
「○×ちゃん、あんた梯子買わなあかへんえ、初盆どっしゃろ」
おかんが若い芸妓はんに教えたげます。
「へぇ、そうどすけど、梯子て何しますのん?」
「新人の仏さんが仏壇へ登りやすいように御供え台から仏壇へかけてあげんのえ、ほらそこに売ってはるやろ」
高さ30センチ位の梯子を買うて、後は目的の「う桶」を目指してまた建仁寺の境内を抜けて行くと、故人を思いだしてか、皆が無口になったとこへ蝉時雨が一段と激しゅうに降りかかって来よります。皆の笑い声がしたんは、よ〜う冷えたビールを一気に飲み干した後どした。
※1 亡くなって四十九日が過ぎないうちに、お盆に入ると翌年
   がその仏さんの初盆になんのどす
※2 ご馳走してあげる、ちゅう意味どす
※3 西花見にあるうなぎ屋さんどす。ここの名物「う桶」は一
   見の価値がおすえ、味の方?そら云わずもがな、どす。

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