京都祇園観光案内

五山送り火

暑い、あつい〜、て云うてる間に気がついたらもうじき送り火どす。このメルマガの読者はんの中には決していてはらへんとは思いますけど、たんまに「大文字焼き」ちゅう言葉を目にしたり、耳にしたりすんのどすけど、これだけは許せしまへん。「五山送り火」なんどっせ。
右大文字
お盆を夫々のお家で過ごさはった仏さんが、またあの世へと帰らはるとき、今一度自分の家を見ようと振返ったときに、場所が分かるように、て京の町の周りの五山(正確には六山)に火をとぼしてあげんのどす。そう、決して花火大会の類いやおへん、宗教的な儀式なんどっせ。せやから、観光のお方も出来るだけ静かに観とぉくれやっしゃ。周りに、手ぇを合して送ってはるお方がいたはるやも知れまへんさかいに。


「あっ、※1とぼった! お母はん、大文字はんとぼりましたえ」
「あ、ほんまや、ほな○×ちゃん、お盆持っといない。お水もな」
「おかん、わしは酒にしてくれへんか、盃で」
「まだお飲みやすのんかいな、もうええ加減におしやっしゃ。いっつも娘はんに叱られてはりまっしゃおへんか」
「ほんま、この頃嫁によう似て来よってうるそてしゃあない。けど今晩はええねん、また一年お別れの晩やさかいに」
大の字ぃをこのお盆の水や盃のお酒に写して、それを飲むと一年間病気せぇへんちゅう言い伝えがあんのどす。こんど観に行かはるお方はいっぺん試してみとぉくれやす。
昔、高層ビルも少なかった頃には、祗園町でもお茶屋はんの三階の物干し場に登って観たもんやそうどす。今ではビルに遮られて見えしまへん。後、鴨川の床からやと大文字だけが斜めにKの字ぃに見えますなぁ。あと、かろうじて、松ケ崎の妙法が少し見えるくらいどす。五山全部を見たい、ちゅうお方は町中のホテルの屋上か、京都駅ビルの最上階がよろしおす。けどどことも予約制どっさかいに行かはんのやったらお早めにご予約を。
夜8時、町中の照明が少し減った中、東山の如意ヶ嶽の支峰・大文字山に「大」文字がとぼります。続いて10分、松ケ崎の万灯籠山に「妙」、大黒天山に「法」の字ぃが。西賀茂の明見山には15分頃「船形」が、時を同じく大北山に右「大」文字。で最後に北嵯峨の水尾山に「鳥居形」が20分に。その頃には一番最初にとぼった大文字の火勢も少ぅしづつ弱まって参ります。消えて行く炎を見てると、見送るお方の面影が偲ばれ、思わず手を合わせてしまうんどす。
「○□ちゃん、えらい神妙な顔して誰送ってはったんや」
「へぇ、お祖母ちゃんと去年亡くならはった□×はんのお母はんをお送りさして貰いました」
「ほぉ、お客はんの奥さんまで気にかけたげるて、見かけによらんええとこあるやないか。私んときも頼むで」
「あのお母はんには大事にして貰いましたさかいに。けど、お父はんは大丈夫どす、殺しても死なしまへんて」
しおらしさに折角誉めたげたんも束の間、やっぱしいつも通りの憎たれ口をきいとります。そうこうしてる内、送り火と共に賑やかやった京の夏も過ぎて行くのんどす。また来年も観られますやろかなぁ、、、
※1 とぼった
   灯った

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