京都祇園観光案内

舞妓とニャンコ

皆はんの中でお家でペットなんぞ飼うてはるお方はいてはりますやろか?今日は花街のペット達のお話どす。ペットちゅうたら、世間では犬と猫が双璧なんどすけど、花街では圧倒的に猫が多おす。芸妓はんのことを俗に猫て云いますけど、そのせいかどうか猫を飼うたはるお母はん、お姉さんがようけいたはります。
犬やと毎日の散歩に連れて行かんならんのが困るからどっしゃろか、屋形やと大事な商売道具のべべをねずみにでもかじられたら大変、ちゅうことから猫が選ばれたんやおへんやろか。大きいしてから三味線にしたろかいな、とは思うたはらしまへんやろけど、猫好きなお姉さんが多おすな。まぁ、見た目も芸妓はんがシェパード連れて散歩してるよか、膝に猫抱いてる方が絵になりますわな。


ある屋形には、家猫6匹、通い猫数匹ちゅうとこもおす。餌、いやそこではごはんて云いますけど結構ええもん貰うてます、ひょっとしたら舞妓ちゃんのごはんよかええかもしれまへん。高島屋はんの地下の魚屋さん、毎日魚をようけ買うてくれるええお客さんて思うてはるけど、まさか猫が食べてるとは気付いてぇしまへんやろねぇ。
名前も、自分とこの舞妓ちゃんの名前は結構ええ加減につけたはるくせに、猫にはわりと凝った名前をつけたはります。舞妓ちゃんがべべ汚して帰ったら、お母はんから叱られますけど、猫がべべにおしっこしてもそのお母さん猫を叱ったりはせぇしまへんのやて。ある舞妓ちゃんが喘息みたいになって、お医者さんへ行ったときにセンセが
「家に猫とかいてへんか?いてたら放り出すように」
て云われたそうどす。そこでその舞妓ちゃんが
「センセ、そら無理どすわ。何せ猫の方がうちよか先から家にいたはりますさかいに」
て応えたんやそうどす。ここでも年功序列ははっきりとしとりますえ。
舞妓ちゃんや若い芸妓はんの膝の上におっきな顔して座り込んで※1のぞを撫ぜて貰うてんのを見たら、いっぺん替わって貰いたいもんやて思いますえ。あるお姉さんは体重7キロちゅう巨大な猫を首に巻き付け、襟巻きみたいにしたはります。これも捨てがたい光景どすな、ほんまに※2けなりおす。
屋形に猫がいてるとこへ仕込みさんにやって来た子で、猫が好きな子は問題おへんけど嫌いな子にとっては重大問題どす。なんぼ嫌いやからちゅうて勝手に処分出来しまへん、何せ猫の方が先輩なんどっさかいに。で、ある屋形のお母はんの面接で最後に聞かはんのが
「ところであんたはん、猫はお好きどすか」
ここで、いえ嫌いです。て云うたらそれでお終い。
「そら残念な、ほなお引き取り願いまひょか」
ちゅうことになってしまうんどすて。
「○△ちゃん、あんた慌ててどこ行くのんえ」
「あっ、□×ちゃん。それがまた家の○○太が家出してもてん。お母はんにそこらへん探しといないて云われて」
「へぇ〜、またかいな。この前もあんたとこのお母はん白川にまで入って探してはったのに。しゃぁないドラ息子やなぁ」
「ほんまやわぁ、探す身ぃにもなって貰いたいもんや。けど、心配したはるお母はん見てたら、何や可哀相になって。□×ちゃん、どこぞで見かけたら知らしてな」
「よっしゃ、見つけたらきつう折檻しといたげるわ。『おとなしいせぇへんと三味線にするえ』ちゅうて」
廻りの騒動をよそに、当の猫は悠々と徘徊を続けとります。
ほんま、舞妓ちゃんよか大事にされとる猫どすな。
※1 のぞ _ー
   咽喉のこと。最近の若い人はもう使わない死語に近いもの。
※2 けなりい ーー__
   うらやましい。で、やきもちは「へんねし」と云います。

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