京都祇園観光案内

舞扇

今年の秋は気持ち悪いほど暖こうて、汗ばむような陽気どした。地震でも起きひんかったらええのんどすけどねぇ。
さて、今日は舞扇のお話どす。
「もうこの舞扇も使い納めやなぁ、長いことお世話になったけど」
髪を先笄に結うた△□ちゃんが独りでつぶやいとります。明明後日の襟替えの日ぃからは芸妓はんとして、舞扇は紫五段に替わるんどす。舞妓ちゃんの間はずっと紅段の扇どした。
【金地近衛引紅五段紋】
金地近衛引紅五段紋
ところで皆さん井上流のきまりの舞扇、舞妓ちゃん用と芸妓はん用では色が違う、て知っといやしたか?「稽古用」は、みんな白地金砂子に井菱の紋どすけど、お座敷や舞台で使う舞扇、舞妓ちゃんは、金地近衛引紅段紋入、芸妓はんは、金地近衛引萌黄段紋入または、金地近衛引紫段紋入どす。いずれも金地のところに白ぬきで※1井菱の定紋が入っとります。扇の寸法は、9寸5分が決まりどす。


「あっ、○□ちゃん舞扇が変わったんや、ちょっと見せて」
「そら襟替えしたんやし、芸妓はんのんに変わって当たり前やんか。けど、うちは紅の方が好きやけどなぁ」
「そうかぁ、この紫のん持ったら急に大人になったみたいで、うちは気に入ってんにゃけどなぁ」
「まぁ、もうじき△×ちゃんも持てるやんか」
さらに年数によって段の数が増えていくのんどす。店出しの舞妓ちゃんは紅三段から始まります。で、五段、七段、九段となって襟替えして芸妓はんになったら紫五段に変わるんどす。紫には三段はおへん。特殊な例で、芸妓はんから出た人は萌黄色なんどす。これはまだ見たことはおへんけど。みなさんも今度、都をどりや温習會などで扇を使う舞のときには良う見てみとぉくれやす。
【金地近衛引紫五段紋】
金地近衛引紫五段紋
「あ〜ぁ、いつんなったら持てるんやろ名取の扇、、、」
若手芸妓の○△ちゃんがため息交じりに云うとります。
「せやなぁ、もうあんたも店出ししてから9年か。そろそろ名取さんになってもええ頃やなぁ。けど、一昨年の五世襲名のときの大盤振る舞いでいっぺんに十何人も名取さんになったしなぁ。次はもっと先になるんちゃうか」
「そうどすやろか、そんなん云うてたら名取さんになるまで祗園町に残ってられるやろか」
「まぁまぁ、待てばカイロはあったかいちゅうさかい」
「何でんのん、それ!」
名取扇、通常十年位まじめにお稽古に励んで、それなりに上達したてお家元が判断したら、名取の免状と一緒に頂くもんどす。生涯に一本だけ、なくしても再交付はしてくれはらへんらしおすさかいに、それは大切な宝物らしおす。何かの本で※1竹葉さんが、ご自分の名取の扇を見せて、「これはうちにとっては一番の宝物」て云うてはりました。うちもまだ実物は見たことおへんけど、紅地金砂子に白の椿が一輪描いてある扇らしおす。井上流の他の扇がすべて白骨なんに対し、この扇だけは黒骨なんどすて。そのレプリカは名取さんになったとき御贔屓筋に配られますけど、これが廻って来るとまた高うつくのんどす(笑)
※1 井菱   井上流の定紋、初代井上サトが近衛家に奉公に
        上がり、辞めるときに奥方から頂いた紋を、後
        に流儀の定紋とした。
※2 竹葉さん 前芸妓組合長、現在舞台に上がったはる立方の
        芸妓さんの中では最年長。
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当サイトの画像は舞妓さん本人、並びに置屋さんに許可を頂いて
掲載しております。 無断転用等されますと高額の損害賠償を
請求される可能性がありますので、ご注意下さい。
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